「いとおしい芸術に心を震わせて」 障害のある作家の作品展 佐賀
県が主催し、基山町の障害福祉サービス事業所「PICFA」が企画した。県内をはじめ神奈川や滋賀など全国の福祉施設7カ所と個人作家から出展された絵画やデザイン、造形など約80点が展示されている。昨年12月から約2カ月開催された第1弾は約9000人が訪れ、好評だった。
会場入り口では、古着や捨てられた靴などで作られた身の丈ほどのモンスターやゾンビの像がお出迎え。割り箸や段ボールを芯に紙粘土で造った巨大なゾウやキリンなどの動物たち、ファッション誌のモデルを独特なタッチでカラフルに描いた人物画、色画用紙をカットして立体的に折って作られた昆虫――など独特な感性にあふれた作品が並んでいる。
中でもユニークなのが、日付入りの付箋が貼られて大量につり下げられた袋麺「サッポロ一番しょうゆ味」。滋賀県在住の作者は1979年生まれで、10代半ばからこの袋麺への執着が始まった。話をすることもなく、起きてから眠るまで一日中、ただ親指で袋をこすって音をたて、見つめているだけ。会場には2本のスタンドに300個の袋麺がつり下げられている。1日1個渡される袋麺は、その日の気分を表すかのように一袋ごとにしわや麺の崩れ具合が微妙に違うところが目を引く。
県の担当者は「作品を見ていとおしいと感じてもらったり、作者がここにいとおしさを感じているのかと思ってもらったりして、心が震えるほどいとおしい体験をしてもらいたい」と話している。【斎藤毅】