生まれ育った街の記憶に思いを馳せる、若山美音子「マグノリアの香り」展
中国四川省成都市生まれ、四川大学外国語学部日本語学科、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業。2000年に写真を始め、瀬戸正人に師事した若山による個展。
実家のある中国四川省成都市では春から夏にかけて老婆たちが道端でマグノリアの花を糸に通して売っている。人々はそれを買って胸につけたり部屋に飾ったりする。この季節の町の中はいつもこの花の香りが漂っている。
実家に戻りこの花の香りを嗅ぐと幼いころの記憶が蘇ってくる。日々変化する街並みや人々の姿から古い記憶と重なる情景が浮かび上がる。どれも見慣れた光景であり、初めて見たような気がする光景でもある。
私はカメラを通して、目の前の光景を確認する。マグノリアの香りを嗅ぎながら、過去の自分と無数の会話をする。
―ウェブサイトより