「黒人」は日本のマンガでどう描かれてきたか─フランス高級紙がその変遷を紹介
日本は歴史的に孤立を選んできた国だ。江戸時代(17~19世紀)、外国人の入国はほとんど許されなかった。17世紀前半に徳川家の一族がキリスト教の浸透を懸念して、鎖国と呼ばれる政策を実施したのだ。貿易に関連する例外的な事例をのぞくと、2世紀を越える期間、日本人は日本を離れられず、外国人は許可なく日本に入れなかった。
その頃の日本人が見たことのあった黒い肌の人間といえば、南蛮船に乗るアフリカや南アジアの従者だけだったため、黒い肌の人間は支配を受ける者だというイメージが定着した。日本の美術品で黒人が被支配者として描かれたのはそれが理由だ。
現代日本の大衆文化史が専門のリヨン第3大学の講師ジュリアン・ブヴァールは言う。
「日本人は奴隷制や植民地支配などをとおして、民族間に非対称な関係があるのを見てとり、西洋が世界を支配しているという見方をするようになりました。そんな見方のもとで、日本人は初めてアフリカ人やアフリカにルーツを持つ人々と出会ったのです」
それは好奇心を丸出しにした見方でもあった。イタリア人のイエズス会士オルガンティノは、16世紀末に日本人についてこんなことを書いている。
「人々は黒人、なかんずくアフリカ人の見物を好み、百里先からわざわざ足を運び、数日ともに過ごして楽しむほどだった」