一生に一度は観るべき! 美しすぎる“日本の宝”が集まる春の展覧会4選
サントリー美術館『よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―』
御大典記念 特別展『よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―』では、奈良にある正倉院宝物の精巧な再現模造のなかからセレクトされた逸品をまとめて展示。近現代の一流工芸家により再現された天平時代の技と美をたっぷり楽しめます。
正倉院宝物とは、東大寺の重要な資財を納める「正倉」に伝わった約9,000件の品々のこと。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、奈良時代の貴重な宝物が多く、調度品や楽器、武具、仏具、染織品など多彩な品があります。
でも、なぜ本物の宝物ではなく再現模造を展示するのでしょうか?
宮内庁正倉院事務所保存課長・飯田剛彦さんによると、正倉院宝物は壊れやすく、全国各地の展覧会で積極的に作品を公開するのは難しいとのこと。代わりに再現模造で理解を深めてほしい、とのお話でした。
明治期の模造製作は、宝物を修理するための試作品としてつくられたことが多く、今では万が一の際のスペアとしての役目や、今回のような展覧会に出品する役割も担っているそうです。
例えば、正倉院の国宝「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」の模造をつくる際、まず製作前にレントゲンやCTスキャンなども駆使して徹底的な調査を実施。痕跡を探り、さらに当時と同じ材料も各地から探し集め、そのうえで当代の名工たちが当時の技法を再現しながらつくりあげたそうです。
「螺鈿紫檀五絃琵琶」は、正倉院宝物を代表する名品のひとつ。楽器としても大変珍しく、世界で現存するのは正倉院の現宝物のみ。それと同じものをほぼ完ぺきに再現した模造も、やはり素晴らしい芸術品といえると思います。
前出の飯田さんは、この企画展の楽しみ方について、次のように教えてくれました。
飯田さん 再現模造には変色や欠けている部分もなく、ストレートな美しさがあります。また、現代の一流工芸作家が失われた技術をどのように再現したのか、という部分も注目点です。模造のパーツなども展示されているので、製作過程も含めて楽しんでみてください。
本展は3月27日まで開催。その後、長野に巡回します。