【まとめ】甲斐みのりの建築半日散歩|京都・大阪・愛知・和歌山・石川・山口編
第一回目に訪れたのは、大阪・難波。国の有形文化財に指定された〈高島屋東別館〉内に開業したホテルにチェックインしたあとは、かつて「道頓堀五座」と呼ばれる芝居小屋が櫓を構え、今も多くの老舗が残る難波界隈を歩きます。
関西屈指の温泉地・和歌山県南紀白浜の穏やかな海辺に建つ、ヨーロッパの古城のような〈ホテル川久〉。1991年に会員制高級リゾートホテルとして創業した宿が、2020年7月から私設美術館〈川久ミュージアム〉として一般公開。贅を極めた建築そのものと、これまでホテルの利用者以外未公開だった芸術作品としても価値ある3部屋、創業者の美術・骨董コレクションを堪能できる。
山口県最古の温泉と言われる長門湯本温泉の立ち寄り温泉〈恩湯(おんとう)〉。古の時代から滔々と湯が湧き「神授の湯」として伝わる名湯が、2020年の春、長門湯本温泉の温泉街と合わせてリニューアルを果たした。音信川(おとずれがわ)を中心に広がる風情ある街並みには、建築的な見どころを備えた施設や店舗が点在する。やわらかな温泉に包まれたあと、宿でゆったり寛ぐひとときと、外に出てそぞろ歩きに興じる時間を、それぞれに楽しんだ。
「本丸御殿」が復元されたばかりの〈名古屋城〉はもちろんのこと、〈名古屋市役所本庁舎〉や〈愛知県庁舎〉など公共機関にも現役で名建築が使用されている愛知県名古屋市には、さまざまな近代建築が残されている。大正~昭和初期にかけての華やかな時代の歴史や文化を物語る〈揚輝荘〉をはじめ、ロマンチックな名古屋の名建築をめぐった。
石川県加賀市にある山代・片山津・山中の3温泉地が点在する加賀温泉郷。金沢から電車で30分という立地ゆえ、加賀百万石の伝統に育まれ、日本三名山の一つ・白山を望む自然豊かな土地は、北大路魯山人など数々の文人墨客を魅了した。今回の旅では、山代温泉と片山津温泉を中心に、加賀市で建築的視点で楽しめる、温泉宿、店、名所を巡った。
2022年4月、京都七条で長い月日保管されていた旧山内任天堂社屋が、安藤忠雄の設計監修でオールインクルーシブのホテル〈丸福樓〉へと生まれ変わった。今回はホテルの滞在を兼ねて、民藝運動を代表する陶芸家・河井寬次郎の住居・陶房・登り窯を見学できる〈河井寬次郎記念館〉や〈開化堂カフェ〉を訪ねたり、界隈を散歩しながら買い物を楽しんだ。