原坂一郎の子育て相談 母を亡くした孫の心をほぐすには
小学6年生の男子の孫は、2月に母親を亡くしてから食欲がなくなり、朝食もとらずに学校へ行くこともあります。家では部屋にこもってずっと本を読み、外の世界に興味を示しません。会話もなく、何を聞いても「いやっ」「知らない」と言います。内にこもる心を解きほぐしてやるにはどうすればいいでしょうか? 普段は父親と2人で暮らし、私が週に数回、家事などを手伝いに行っています。
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最愛の母が亡くなり、お孫さんはさぞ悲しかったことでしょう。そのショックからまだ立ち直れないでいるようですね。読書のほかに何もすることがなく、食べることも忘れるくらいなら体も心配ですよね。
家事を手伝いに行く度に、元気のないお孫さんの姿を見るのはつらいことだと思いますが、しばらくはそっとしておき、とりあえずは彼が最低限の食事をとれるように頑張ってほしいと思います。誰に頑張ってほしいかといえばあなたです。彼らの食事を作っているなら、極力、お孫さんの好きなもの、食べやすいもの、栄養のあるものを作り、少しでも食が進む雰囲気作りを彼のお父さんにも頼んでおきましょう。
話しかけてもそっけない返事しかないのは、今は仕方がありません。でも、そこでため息をついたり、あなたまで暗くなったりせず、会話がなくともあなただけは今まで通り、明るく振る舞い続けてほしいと思います。
部屋にこもってすることが読書であることと、心は塞(ふさ)いでも行動が荒れたりしないことが彼の立派なところです。彼は必ず元気になります。読んでいる本の中には、そのきっかけになるものもきっとあります。今のまま、そっとしておくだけでも、成人したころ彼は、「あのとき立ち直れたのはおばあちゃんのおかげ」ときっと言ってくれますよ。(こどもコンサルタント)
■はらさか・いちろう 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。7月9日に関西大学梅田キャンパス(大阪市北区)で開かれる「日本笑い学会オープン講座」の講師を務める。講座に関する問い合わせは月曜~金曜日の正午から午後4時まで、日本笑い学会事務局(06・6360・0503)。
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