帝国ホテル二代目本館の100周年を記念。「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展が豊田市美術館で開催へ
豊田市美術館で開催される。会期は10月21日~12月24日。
アメリカの落水荘やグッゲンハイム美術館
の建築で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園明日館」も手がけており、日本にゆかりある建築家のひとりだ。とくに1923年の関東大震災の日に落成した帝国ホテル二代目本館は、その災禍を生き延びたことでも評価されている。
2012年にはフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする約5万点の資料がニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管。建築のみならず、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画といった、ライトの広範な視野と知性を明るみにする調査研究が現在も続けられている。本展ではそのような近年の研究成果を踏まえ、多様な文化と交流し先駆的な活動を展開したライトの姿を、帝国ホテルを基軸に明らかにするものとなる。
会場は「モダン誕生 シカゴ―東京、浮世絵的世界観」「『輝ける眉』からの眺望」「進歩主義教育の環境をつくる」「交差する世界に建つ帝国ホテル」「ミクロ/マクロのダイナミックな振幅」「上昇する建築と環境の向上」「多様な文化との邂逅」の全7章で構成。帝国ホテルを中心にライトのキャリアを振り返るとともに、アメリカ中西部からラテンアメリカ、ヨーロッパ、日本まで、ライトが経験した様々な風土と文化が取り入れられたことがわかる建築ドローイングや図面の数々も展示される。
また、ライトが主宰していた「タリアセン・フェローシップ」という実践教育の場で学んでいた磯矢亮介氏の協力のもと、ライトが提言していた「ユーソニアン住宅」の一部が会場内で再現される。ライト建築が織り成す空間を実際のスケールで体験することで、より理解を深めることができるだろう。
会期中には記念講演会の実施されるほか、2024年にはパナソニック汐留美術館(東京)や青森県立美術館
(青森)への巡回も予定されている。この機会に、アメリカや日本で多くの代表作を残したライト建築の魅力を再発見してみてはいかがだろうか。