世界で唯一現存する「美しい椅子」も登場! 北欧デザインを体感できる至福の展覧会
【女子的アートナビ】vol. 283
日本橋髙島屋開店90年記念『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』では、椅子研究家の織田憲嗣さんが長年かけて収集・研究してきた、世界的にもかなり貴重な「織田コレクション」が集結。
北欧デザインの椅子やテーブルなどの家具から、照明やインテリアアクセサリー、さらに食器などの日用品まで、総勢70名以上のデザイナーによる300点以上の作品が紹介されています。
洗練された作品だけでなく、展示空間も見どころのひとつ。北欧の建材メーカーによる窓枠や床材を使い、リアルなリビングルームやダイニングルームが再現されています。照明も北欧のもので演出され、現行商品の名作椅子には座ることもできます。
日本だけでなく、世界でも北欧デザインは人気があります。なぜ、これほど魅力を感じるのでしょう?
北欧家具やインテリアなどの有機的で美しいデザインには、日常の暮らしや思想が強く影響しているそうです。
開会式に登壇された織田さんは、北欧デザインができた背景について、次のように語りました。
織田さん 北欧では、19世紀末にスウェーデンの社会思想家、エレン・ケイが「美が人生を豊かにする」という思想をとなえ、さらに美術史家のグレゴール・パウルソンが、「暮らしの中にもっと美しいものを取り入れていこう」と提唱し、今日の高い生活文化が築かれていきました。
現在、日本はジェンダーや環境などさまざまな問題を抱えています。北欧では、1960年代からそれらの問題に取り組み、解決してきた実績があります。モノだけをご覧になるのではなく、美しいモノたちが生まれてきた背景や歴史にも思いをはせていただければうれしいです。