吉田口の富士山信仰用具展示 ふじさんミュージアムで企画展
「吉田口の富士山信仰用具」は、吉田口登山道ゆかりの4039点の資料からなる。富士山を信仰する富士講など「信仰する側」と、御師・山小屋を中心とする「信仰を広め、受け入れた側」の用具が一体的に見られる。
会場では、所蔵者から同館に寄贈された資料を「いのる」「のぼる」などの用途別に約80点展示。「いのる」では、御師の家と吉田口登山道の山小屋の堂社にまつられている神仏や、富士講中興の祖・食行身禄(じきぎょうみろく)ら富士講行者の像、1932年に千葉県銚子港の富士講が奉納した「富士山禊所(みそぎじょ)」のロウソク立てなどが並ぶ。「のぼる」では、富士山の中腹を巡る「御中道(おちゅうどう)」とよばれる修行で使った約180センチの金剛杖(中道杖)や、富士講先達の勝俣正行が御中道で用いたシャクナゲ製の中道杖も展示。シャクナゲは貴重な木で、富士講のリーダーである先達など限られた人しか持たなかった。勝俣の御中道修行は40~50回にも及んだといわれる。
「もてなす」では飯茶碗、丸盆、煙草盆といった富士講から御師の家に奉納され、使われた日用品類、「しめす」では富士登山の目的が成就したことを記念した奉納額、木札、旗などを紹介している。富士講道者が宿泊・休憩する御師の家や山小屋に奉納した「マネキ」と呼ばれる旗や板などは、たくさんの富士講が利用していたことを示す。マネキは富士講の印や地域名、登山者名と登山年月日なども記されていて、富士講の信仰登山を考察する上で貴重な資料ともなっている。
午前9時半~午後5時(入館は同4時半)一般400円、小中高生は200円、会期中、富士吉田市民は無料。同館(0555・24・2411)。