安達祐実の写真はなぜこれほど輝いているのか? 桑島智輝+安達祐実の夫婦写真プロジェクト「我我」レビュー(評:トモ・コスガ)
桑島智輝は、主にグラビアなどのポートレート撮影を中心に活動する商業写真家だ。数多くの芸能人やアイドル、俳優らを写真に収めてきた。そのうちのひとりでもある俳優の安達祐実とは、安達の芸能生活30周年を記念して制作された2013年刊の写真集『私生活』の撮影がきっかけとなって結婚に至った。2019年に青幻舎から刊行された『我我』は、そんな桑島が撮った安達の日常を存分に見せる写真集である。仕事の領域を突き抜けた夫婦として結ばれてなお、ふたりは写真家と俳優の関係を継続させたわけだ。
2015年の結婚記念日に運転席から写された道の1枚から始まり、安達の妊娠、出産。そして日々。ふたりの結婚生活が、夫である桑島の眼を通じて、妻である安達の姿によって露わになる。その写真群にはふたりのコメントが添えられた。たとえば桑島が「ずっと目を見てくるから目をそらす」と綴れば、安達は「写真を撮っているときの彼を美しいと思う。純粋で汚れがなくて、冷たくて張りつめている。私はそこに浮かぶ、小さな舟のようなものです」と書き示し、撮る者と撮られる者それぞれの心境が窺い知れる。