洋画家、野見山暁治さん死去 文化勲章受章者
福岡県の炭鉱町に育ち、東京美術学校(現東京芸術大)卒。太平洋戦争で旧満州に出征したが病気で送還され、傷痍軍人療養所で終戦を迎えた。1952年にフランスへ留学、フォービスムやキュービスムを吸収し、明るい色調の風景や人物を描いた。56年にサロン・ドートンヌ会員となり、58年「岩上の人」で安井賞。やがて東洋画への傾斜を強め、具象と抽象の境界を超えた心象風景に独自の画境を開いた。
64年帰国。68年から助教授、教授として東京芸術大で教える一方、宗左近さん、安田武さんらと戦没画学生の作品を調査。長野県の「無言館」開設に尽力し、2005年に菊池寛賞を受けた。文才にも恵まれ、最初の夫人の最期をみとった記録「パリ・キュリイ病院」や日本エッセイスト・クラブ賞の「四百字のデッサン」などが著書にある。