英語スピーキングテスト初実施、来春の都立高入試に活用、採点の公平性で疑念も
テストは都立高や民間施設などを利用して実施。生徒は配布されたタブレット端末に表示された文章やイラストを見ながら、自身の意見などを英語で答えた。
解答は表現の論理性や発音の正確さなどをA~Fの6段階で評価し、それぞれを20、16、12、8、4、0点に数値化。入試では学力検査(700点)と調査書(300点)の計1千点に加算し、合否判定される。
都教委が「使える英語力」の育成につながるとして導入に踏み切ったスピーキングテストだが、一部の保護者らからは活用の見送りを求める声が出ている。
懸念の一つは、通信教育大手「ベネッセコーポレーション」がテストを運営することだ。タブレット端末に録音された解答は、英語を公用語の一つとするフィリピンに送られ、現地スタッフが採点する。都教委は「大学の学位を持つ人らが採点にあたる」と説明するが、採点の公平性だけでなく、情報流出への不安が拭いきれないとされる。
障害や病気などを理由にした「不受験者」の扱いも疑問視されている。英語の学力検査の得点が同じ生徒のスピーキングテストの平均点が不受験者に付与される仕組みだが、「一部の受験生の合否判定が入れ替わる可能性がある」との批判もある。
清泉女子大の小泉利恵教授(英語教育学)はスピーキングテストの活用が「話す」能力の適切な評価や、それに基づいた指導の改善につながると期待を込める一方、「(都教委は)意図しない教育現場への負の影響を最小限に抑える努力をし、実証研究を適切に行いながら進めることも必要だ」と指摘した。