時代を読む、ストーリーのあるホテルNo.22 「セルリアンタワー東急ホテル」
せめて月に一度、可能なら二度でも三度でも、誰にも邪魔されず、リモートワークや寛ぎに、また遊びにと、自分のために滞在してみるといい。
日本のホテルは旅館の歴史と相俟って、伝統的かと思えば西洋のホテルのごとくスタイリッシュに最新鋭設備を纏い東西融合の感性が心地いい。
もてなしは繊細な日本流、デザインも世界が認める洗練さが光る。
まずは週末、金曜日の夜にチェックイン、ゆったりと日曜日の午後まで、我儘な時を満喫するのが大人のホテル利用の流儀である。
ホテルジャーナリスト せきねきょうこ
■街と共に進化を続け21年 文化を発信し愛されるホテル
2001年5月、「セルリアンタワー東急ホテル」が開業を迎えて以来、早いもので21年を迎えている。
開業前のメディアお披露目の当日、筆者自身も館内をくまなく視察した。隣接する原宿や青山地区も同様だったが、若者の流行の最先端を発信する渋谷にも、当時、大人が寛ぎ、高級感を満喫できるラグジュアリーホテルの存在が無く、ついに東急電鉄(現・東急)の本社跡地、渋谷駅に近い好立地に「セルリアンタワー東急ホテル」が誕生したのである。
ホテルは現在も尚、渋谷のランドマークとして存在し、渋谷駅を中心に周辺の大規模再開発が進む中、「セルリアンタワー東急ホテル」は未来に向かう“東急ホテル文化”の発信拠点として揺るぎない存在感を示している。
ホテル開業時から一貫しているのが自他ともに認める“食”の発信であろう。“食の東急”としての自負や、ゲストからの厚い信頼を受ける食処は常に進化を遂げながら今に至っている。ここで数ある人気レストランを紹介しよう。伝統レシピと料理長の感性や技術力が伯仲する「スーツァンレストラン陳」は、総料理長の陳建一氏が日本の中華料理界を長く牽引する中で、ホテル開業以来の人気のレストランとして不動の店舗となっている。
一方、ホテルのシグネチャーレストランとしてあるプロヴァンス料理の「タワーズレストラン クーカーニョ」(40階)は、軽やかで彩豊かな南フランスの料理を提供。まるで1枚の皿に描かれたアート作品のように美しく、ヘルシーで美味しい料理が振舞われる。
また総料理長の福田順彦氏は、食を通じて子供の自立を図り食育教育にも取り組むという食の総合プロデューサーとしても活躍中だ。館内には他に、ホテル20周年事業として2021年6月に開店し1年を迎えた日本料理「Japanese Cuisine桜丘」があり、日本料理の新境地を礎に、斬新で丁寧な料理を発信している。