彫刻家・舟越保武 幻の「女の顔」75年ぶり発見 盛岡に帰る
舟越は長崎にある日本二十六聖人殉教地の「長崎26殉教者記念像」や島原の乱で討ち死にしたキリシタン武士の像「原の城」などキリスト教信仰を主題とした作品や、秋田・田沢湖畔の「たつこ像」などで知られる。
戦中から戦後にかけて盛岡に疎開して活動しており、「女の顔」はその時期に作られた。大理石から直彫りされた高さ40センチの胸像は、女性の柔らかな表情が石の質感や色調と相まって巧みに表現されている。
47年に当時の駐日フランス大使が絶賛して買い上げた後、舟越作品と知られずに所有されるなど長らく所在不明だったが、昨年にパリのオークションで発見された。県立美術館は地元ゆかりの作家として舟越の彫刻や素描などを多数収集してきたが、103点目の「女の顔」は盛岡時代に本格的に制作されたものとしては初のコレクションとなった。
「女の顔」は発見の経緯など話題性もあって4月29日に開会した新収蔵作品展で早々に公開され、7月24日の会期終了後も常設展示される予定。【山本晋】