モードの騎手の軌跡を辿る「マリー・クワント展」が渋谷でスタート!
パリで有名デザイナーが上流階級やブルジョワの女性に向けたオートクチュールを売り出すことがファッションの最先端だった1950年代に、ロンドンに忽然と現れたマリー・クワント。彼女が発表したミニスカートは、街を歩く女の子たちが快適に身につけられて「セクシーな気分になれる」ファッションとして世界中を席巻。旧弊な価値観や階級システムとは異なる、若者たちのストリート・カルチャーは「スウィンギング・ロンドン」として開花し、マリーはそれを牽引する旗手のひとりとなっていく。
カラータイツやPVC(ポリ塩化ビニール)を使ったレインウェア、ジャージー素材のドレス。軍服や紳士服、女学生の制服にインスパイアされたマリーのデザインは既成概念を打ち破り、ファッションと女性の意識を解放していく。マリー・クワントが提供するファッションは、組み合わせも色合わせも自由自在。マリーは誰もが着たいものを着て、自分らしくいられる時代の扉を開いていく。
小枝のように華奢で中性的なモデル、ツイッギーの起用も話題となったが、マリー自身が広告塔となるPR戦略は時代の先を行っていた。ヴィダル・サスーンがデザインしたショートヘアと自らクリエイトしたファッションを見事に着こなし、ファッション・アイコンとなった彼女はいわば元祖インフルエンサーだった。また大量生産時代にいち早く反応し、下着やコスメへとデザインの幅を広げたマリーは、20世紀における最も影響力のあるデザイナーの一人となっていく。
本展は、〈ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館〉から来日する約100点の衣服を中心に、小物や写真、映像などを展示。1955年から1975年にかけてのマリーの活躍と時代を切り拓いた起業家としての顔に迫る。
東京都渋谷区道玄坂2-24-1。2022年11月26日~2023年1月29日。10時~18時(金・土曜は21時まで)。12月6日、2023年1月1日休。全日程でオンラインによる事前予約が可能。TEL 050 5541 8600。一般 1,700円ほか。