<今月見るべきアート展>涼しげグラスに囲まれて。東京都庭園美術館でフィンランドのグラスアート展
フィンランドのモダンデザインが花開いたのは、1917年ロシアからの独立後。ナショナリズムが高まるなか、新たな国づくりと国民のアイデンティティを取り戻すため、ものづくりの面でもモダニズムが推進されたのだった。特に30年代には芸術性の高いアートグラスがつくられ、国際的な見本市などで高く評価。また、第二次世界大戦後も、若いデザイナーたちによるアートグラスが、国家復興の一翼を担った。
本展では、その30年代の台頭期から50年 代に始まる黄金期、そして今に至るまでの約140作品を紹介しながら、フィンランドのグラスアートの系譜を辿る。出展作家は、アルヴァ&アイノ・アアルト、カイ・フランクなど。魚やきのこなど、フィンランドらしい自然に着想を得たモチーフの作品も愛らしく、また、なによりグラスの涼しげな表情がこの季節に心地よい。
『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』
@東京都庭園美術館
開催中。9月3日(日)まで。
BY MASANOBU MATSUMOTO