卒業式、新学期…「脱マスク」に歓迎と戸惑いの教育現場
「卒業式は学校生活の集大成。子供たちの晴れ舞台を本来に近い形で行えるのはうれしい」。政府の方針を、こう受け止めたのは、東京都内の公立小で低学年を担任する女性教員(39)。自身のマスク着脱については「校長や教育委員会がはっきりと指示を出してくれるといいが、自分の判断に委ねられると、外すことをためらいそうだ。同僚の様子も見つつ判断するつもりだ」という。
神奈川県にある公立中の校長は「生徒たちは教員にマスクをしていてほしいのかどうか。生徒の考え方もさまざまだろうから悩ましい」と打ち明ける。
学校現場ではすでに卒業式の準備が進んでおり、新指針は後手に回った感もある。3月22日に卒業式を行う荒川区立第三日暮里小でも、2週間ほど前に独自に方針を決定。6年生は入場から退場までマスクなしで出席し、在校生と教職員、保護者は着用して臨む。式典中に合唱を行う際もその状態で進行するという。
末永寿宣(としのぶ)校長は「校長としての判断で『主役はマスクを外すが、周囲は着用』という基準を定めた。国の指針は感染状況次第で変わるかもしれないが、方針がぶれるのは教育上も好ましくない」と語り、新年度以降も当面は独自の基準で学校を運営していく考えだ。
一方、小学1年と5年の子供がいる福生(ふっさ)市の会社員、日高由佳さん(41)は脱マスクに賛成だが、「外す子供が少なく未着用者が目立ってしまい、いじめなどのトラブルが起きないか心配」と話した。
目黒区の女性会社員(44)は「高校1年の長男が、素顔を知らないクラスメートもいると言っていた。大人に成長する大切な時期なので、お互いの表情が分かった方がいい」と歓迎する。ただ、「年頃なので素顔を出すのが嫌だと言うかもしれない。本人に希望を尋ねたい」と語った。