【今週見るべき展示会】激動の時代を生きた朝倉摂の仕事、 美術が示す未来、越後妻有の芸術祭
商業演劇から歌舞伎、オペラまで。蜷川幸雄や唐十郎といった演出家と共創し、既成概念を打ち破る数多くの舞台美術を手がけた朝倉摂(あさくらせつ)。神奈川県立近代美術館 葉山での回顧展『生誕100年 朝倉摂』は、これまで深く紹介されてこなかった画家としての姿にもフォーカスし、その創作人生をつまびらかにする。
17歳のとき、日本画家・伊藤深水のもとで絵画を学びはじめた朝倉。洗練された色彩感覚によるモダンな女性画などを発表し、若くしてその才能が認められることになった。戦後はピカソら海外作家に刺激を受け、新しい前衛的な表現にも挑んだ。また、戦争孤児、炭鉱や漁村の労働者へ取材を重ねながら絵画の主題を深めるなど、社会に生きるひとりの人間として描き出すべきものを的確に捉えようとした。本展ではこうした初期の日本画を含む約40点の絵画と、朝倉が手がけた絵本や小説の挿絵、また舞台美術の模型やデザイン画なども展示する。書籍『朝倉摂の見つめた世界 絵画と舞台と絵本と』(青幻舎)によれば、朝倉は常に“今”を生きていたという。彼女が生み出した作品の変遷、ジャンルの広がりは、そのまま彼女自身の生き様を物語る。
『生誕100年 朝倉摂』展
会期:~6月12日(日)
会場:神奈川県立近代美術館 葉山
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
開館時間:9:30~17:00
※入館は閉館時間の30分前まで。感染防止対策として入場制限を行う場合もあり。
休館日:月曜
料金:一般 ¥1200、20歳未満・学生 ¥1050、65歳以上 ¥600、高校生 ¥100
電話:046-875-2800