「住職がけちで飲ませてくれない」…最古の「焼酎」落書きがある神社、全焼の社務所再建へ目標額達成
神社は1954年の改築時、室町時代の1559年(永禄2年)に改修工事をした大工による落書きと思われる墨書が本殿から見つかった。長さ約25センチ、幅10センチの木片に「住職がけちで、焼酎を飲ませてくれない」という趣旨の愚痴が記されており、木片は県の有形文化財に指定された。
神社は祭りやグラウンドゴルフなど住民の交流の場にもなっていたが、昨年11月に社務所で火災が発生。国の重要文化財に指定されている本殿には延焼せず、木片も無事だったが、社務所とともに札やお守り、巫女装束などが焼失した。出火原因はわかっていない。
氏子総代会会長の岡下臣広さん(74)は「10メートル以上の火柱が上がっていた。本殿に燃え移らないように、びしょぬれになりながら消火活動に取り組んだ」と振り返る。
火災保険は支払われたが、焼損したごみの処分料や備品の購入費がかさみ、社務所の建築費まで賄えなかった。そこで岡下さんらはCFを発案し、地域おこし協力隊の西上寛樹さん(40)に相談。西上さんは焼酎の落書きをテーマにしたオリジナルの狂言を制作するなど神社との関わりは深く、CFの手続きを快諾した。
5月中旬から受け付けを始めると伊佐市民だけでなく、県外からも寄付金が送られた。岡下さんらの元には「焼酎好きの身として親しみを感じる。今回の支援が神社の役に立てる事を願っている」「焼酎神社の復活を心から願っています」などの応援のメッセージも寄せられた。
寄付件数は約240件に上り、目標を超える資金が集まった。社務所は10月には完成する予定という。