東京タワー 意外に知らない「ニッポン入門」
1958年12月23日に開業した高さ333メートルを誇る東京タワー(正式名称:日本電波塔)。建設時は自立型の鉄塔としてエッフェル塔をしのぐ世界一の高さに躍り出た。総工費約28億円、延べ約22万人を動員し、コンピューターがない時代にあって「手計算」で設計され、わずか1年半で建てられた。地震や災害に強い鉄塔だ。
設計は、日本を代表する建築構造家、内藤多仲(たちゅう)博士が指導した。デザインの美しさについて尋ねられると「ムダのない、安定したものを追求していった結果できたものです。いわば、数字のつくった美しさとでもいえましょう」と博士は語った(『東京タワーの50年』日本経済新聞出版社)。美しい赤と白の帯状のデザインは、航空法で決められたもので、一定以上の高さの建物はツートンカラーに塗色しなくてはならず、「インターナショナルオレンジ」と白が使われている。
エレベーターで予約制のガイド付き「トップデッキツアー」に申し込むと、みるみるうちに箱庭のように小さくなる六本木ヒルズや増上寺、芝公園を眺めながら、「メインデッキ(150メートル)」、「トップデッキ(250メートル)」に到着する。途中で飲み物や写真撮影のサービスもある。東京タワーオープンエア外階段ウォークでは、景色を眺めながら外側の600段を地上から約10分、メインデッキまで上っていける。
日没が近づくと、カップルや家族が東京タワーにやって来る。遠くからタワーのライトアップを見て、その後、展望台に上って東京の夜景を楽しむ。
夜を彩る東京タワーのライトアップは、2種類ある。定番の180個の「ランドマークライト」は、春、秋、冬はオレンジで、夏はシルバーに衣替えする。年に2回手作業で交換される。268台の発光ダイオード(LED)ライトの光が多様に変化して輝く「インフィニティダイヤモンドヴェール」は、毎週月曜の夜に月ごとに指定された12色に変身するほか、「スペシャルライトアップ」として、イベントやプロモーションによって色を変えたり、展望台の窓枠にメッセージを表示させたりすることもある。