世界文化賞 「伝統探究する国からの賞は誇り」受賞者が喜びの声
東京都内の会見では、建築部門で受賞した建築家ユニット、SANAAの妹島和世氏(65)と西沢立衛氏(56)が出席。妹島氏は「大変名誉ある賞をいただき、とても光栄に思っております」とあいさつし、西沢氏も「これからも良い建築を目指して、さらにがんばっていきたい」と決意を述べた。
日本美術協会の日枝久会長は妹島氏らを称えるとともに、第14回演劇・映像部門受賞者で13日に亡くなった映画監督、ジャン=リュック・ゴダール氏を悼み、「来日会見で北野武監督の『HANA-BI』を素晴らしいと語っておられたのが懐かしい」と振り返った。
ベルリンでの受賞者発表会見は、日本大使公邸で行われた。演劇・映像部門で受賞した映画監督、ヴィム・ヴェンダース氏(77)らが出席し、関係者や報道陣100人近くが集まった。
主催者を代表して、ゲーテ・インスティトゥート前総裁のクラウス=ディーター・レーマン国際顧問がウクライナで続く戦争に触れ、「今こそ文化の力を再認識するべき」とあいさつした。ヴェンダース氏は壇上で、「小津安二郎監督の作品に影響を受けた」と喜びを語った。
第25回若手芸術家奨励制度は「クロンベルク・アカデミー財団」が対象団体となった。同財団のライムント・トレンクラー会長には、表彰状と奨励金500万円の目録が授与された。
ロンドンでの発表会見には、彫刻部門で受賞した中国人芸術家のアイ・ウェイウェイ氏(65)が出席。「日本という国は、伝統を探求し、文化に重きを置いている国だと思う」とした上で「日本からこうした素晴らしい賞を受賞し、誇りに思う」と話した。
同氏は中国の人権侵害の状況については「中国の(人権侵害の問題は)今日の状況だけでなく、長い間続いていると思う」と発言。「西側諸国は徐々に中国の脅威を理解している」との見解を示した。
(黒沢綾子、ベルリン 三井美奈、ロンドン 板東和正)