山口市の「小森遺跡」、土師器の皿や備前焼の破片出土…鎌倉~室町時代の集落跡
市教委によると、調査は5月8日から実施。これまでに2か所計約720平方メートルを発掘した。
西側の約320平方メートルでは、石組みの井戸(直径約1・1メートル、深さ1・5メートル以上)の他、井戸を囲むように柱の跡があった。掘っ立て柱の建物があったとみられる。熱で赤や灰色に変色した遺構も出土しており、炉があった可能性もあるという。また、東側の約400平方メートルからも柱穴などが見つかった。
遺跡からは、土師器の皿や備前焼の甕の破片など、鎌倉~室町時代の食器類が出土した。安土桃山時代以降の遺物はなく、鎌倉時代に人が住み始め、室町時代には廃絶したとみられる。
この日の説明会には、地域住民や研究者らが参加。発掘された井戸などをのぞき込み、中世の生活に想像を膨らませていた。
鋳銭司地域では、過去の調査で、灌漑技術の向上による耕作地の拡大に伴い、集落も高所に広がっていったとの仮説が立てられている。市教委文化財保護課の舟山直希主事は「調査の記録や出土品を分析し、仮説をさらに検証していきたい」と話している。