【当世風・日本の「二十四節気」】 小満
「小満(しょうまん)」は、麦の穂が育ち、命が満ち始める季節で、現代の暦では5月21日ごろ。農作物の成長を感じる時期なので、農家が小さく満足することから「小満」と呼ぶようになったと言われる。
5月から6月にかけて、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブが見頃になる。どれも似た花を咲かせるが、花びらに網目模様があるのがアヤメ、白い筋はカキツバタ、黄色い模様はハナショウブ。5月5日の端午の節句(こどもの日)に飾るのはハナショウブ。東京・根津美術館では毎年、庭のカキツバタの開花時期に合わせて尾形光琳作の国宝「燕子花(かきつばた)図屏風」を展示する。
網目状の模様があるアヤメ
白い筋があるカキツバタ
黄色い模様が特徴のハナショウブ
「紅色」は、もともとベニバナからきている。花の色は黄色。『万葉集』や『源氏物語』にも記載があり、平安時代から栽培し、染料として利用してきた。現在も山形県で盛んに栽培される。口紅、頰紅などの化粧品にもなる。染料「紅花」で何度も染めを重ねることで鮮やかな色が生まれる。
東京・湯島天満宮で例大祭「天神祭」が行われる。学問の神様・菅原道真をまつっていることから、受験シーズンになると合格祈願に訪れる人でにぎわう。
ふ化した蚕が、桑の葉を食べ始める頃。皇居では皇后陛下が皇居内にある紅葉山御養蚕所で蚕に桑を与える「御給桑」の儀をされる。繭から加工した生糸で織った絹織物は宮中の儀式や祭祀(さいし)で用いられる。
田植え始めに神を迎える行事を「さおり」という。「さ」は神を指し、天から神が降りてくることに由来する。地方によって「御田祭(おんださい、おんだまつり)」と呼ばれる祭りがあり、赤飯を炊くなどして豊作や無病息災を願う。
本格的に梅雨に入る前の数日間にわたって続く雨のことを「はしり梅雨」という。気象庁による「梅雨入り」の知らせが南から届き始める。