『公務員はユーチューバーになれない? 副業・兼業禁止は時代遅れ【「表と裏」の法律知識】』へのユーザーの意見まとめ
テレビよりもインターネットを見る時間の方が多い時代になってきています。そして、携帯電話ひとつで誰でも動画投稿ができるようになり、ユーチューブなどの動画投稿サイトを通じて、世界中に表現をし、広告収益を稼げるような時代になりました。しかし、公務員にはいまだに厳しい副業・兼業禁止の制約があります。本業以外の事業で収益を得ることが禁止されているのです。
芸能人に対する名誉毀損はこれからも“特別扱い”でいいのか
今年1月、和歌山北消防署に勤務する消防士長の男性が自身の管理するユーチューブチャンネルに、ゲーム実況動画を314本投稿。1年足らずで広告収益として約115万円の収入を得ていたことが、匿名通報によって発覚し、地方公務員法の副業禁止規定に違反するとして、減給処分を受けました。
この処分についてネット上で賛否両論が巻き起こりました。確かに、公務員の場合、副業を優先するあまり本来の業務がおろそかになることを防止しなければなりません。特に警察・救急・消防業務などは、職務怠慢が市民の命に直結します。そのため公務員には「職務専念義務」が課されており、任命権者の許可を受けることなく、営利目的で副業を行うと、国家公務員法、地方公務員法違反として懲戒処分の対象となります(国家公務員法104条、地方公務員法38条)。
とはいえ、ユーチューブ、インスタグラム、TikTokなどを利用して写真や動画を配信している公務員の方も多いはずです。動画が思いもよらずバズってしまい、急にスターダムにのし上がる人は日々生まれています。これほどまでに個人が気軽に収益を得られるのが現代です。
公務員の職務専念義務は確かに重要です。しかし、時代にそぐわなくなっているのも事実です。一律禁止ではなく、具体的なガイドラインを示して、職務への支障がない副業を認めていく時期が来ているのではないでしょうか。
(髙橋裕樹/弁護士)