黒田辰秋の軌跡、一堂に 京都・大山崎山荘美術館で展覧会
漆を塗る塗師(ぬし)職人の家に生まれた黒田は、木漆工芸の制作過程が木工を担当する「木地師」や「塗師」、装飾を施す「蒔絵(まきえ)師」などと分業されていることに疑問を持ち、素地作りから仕上げまで一貫制作する独自のスタイルを確立。昭和45年には木工芸分野で初となる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。
同展では、黒田の基礎が確立された20代前半の時期に焦点を当てた。無名の職人による手作りの日用品に美を見いだした「民芸運動」の影響を受けた初期の代表作、欅拭漆(けやきふきうるし)のテーブルセットなど制作への飽くなき情熱がほとばしる約50点が展示されている。東京都目黒区の主婦、繁田(しげた)三知子さんは「木が持つ力強さをうまく表現していて素晴らしい。民芸運動を高めようとするエネルギーを感じた」と話していた。
午前10時~午後5時。月曜休館(5月1日は開館)。問い合わせは同館(075・957・3123)。(梶原紀尚)