愛されキャラの大森らん初段、地元・広島で快挙
そして、そんな素敵(すてき)な大会で見事、優勝したのが、出場棋士の中で最年少(20歳)の大森らん初段です。
大森さんは私と同い年で、院生の頃に知り合って、7年ぐらいの付き合いです。
対局前は「まずは1勝できたら」と話していましたが、会場のすぐ近くの江田島の出身ということもあって、前日も下島陽平八段と最終調整で練習対局を行うなど、静かな闘志を燃やしていました。強敵の先生方を相手に、1回戦から決勝までどの対局も(形勢を示す評価値が)乱高下するような見どころ満載の戦いで、本当にかっこよかったなぁ。
しかも、地元・広島での優勝です。以前、大森さんの実家に遊びに行った時も「江田島から女流棋士誕生! おめでとう」という幕が飾ってあって、愛されているんだなぁ、と感動したのですが、会場にいた広島の囲碁関係者はもちろん、大森さんによると、地元・江田島の友達や囲碁好きの人たちからも祝福が寄せられたそうです。ちなみに、解説で現地に来ていた大森さんの師匠・山本賢太郎六段は「らん、一気にお金持ちになったなぁ」と感慨深そうに呟(つぶ)やいていました(笑)。
ただ、当の大森さんは周りの人への配慮もあったのだと思いますが、優勝しても、優勝賞金を手にしても、いつもと変わらない大森さん。大会が終わった後は、いつもの明るい笑顔と天然キャラを炸裂(さくれつ)させていました。
ちなみに、私がこの原稿を書いている段階(7月初旬)で、優勝賞金の200万円はまだ一切、使っていないのだそう。本人に聞いたら、私との焼き肉に使う予定だと宣言してくれました(笑)。
最後に、素晴らしい会場でイベントを開催してくださったフマキラー様を含め、関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。そして、大森さん、改めておめでとう!
安田 明夏( やすだ・あきか )
囲碁棋士。初段。日本棋院関西総本部所属。2002年8月24日生まれの20歳。兵庫県出身。堀田陽三九段門下。2021年度入段。22年4月からNHK・Eテレ「囲碁フォーカス」で聞き手を担当している。