ボクサーだった主人公が血まみれの傭兵に…! 石渡治が語る『B・B』誕生秘話
筆者は10年ほど前に石渡治にロングインタビューをしたことがある。そこから本作について語った部分を紹介しよう。
「この作品はもともとジェフリー・アーチャーの『ケインとアベル』にインスパイアされて生まれたものです。敵対しているんだけど、『こいつがいるからがんばれる』という関係。それが高樹と森山ですよね。その関係を軸に、何かでかい話ができないかと考えた。『ケインとアベル』には、アベルの娘が主人公の『ロスノフスキ家の娘』という続編もあるので、次に描いた『“LOVe”』ではB・Bの娘を主人公にしました。傭兵編は『ベン・ハー』なんですよ。ベン・ハーがガレー船に乗って帰ってくる、あのイメージです」
主人公が人を殺して逃亡し、海外で傭兵になるという驚愕の展開は路線変更などではなく、当初からはっきりと予定していたものだという。そのため、連載中は決して「ボクシングマンガ」とはうたわなかった。
「ボクシングはやるんだけど、描きたいのは『ケインとアベル』であり、『ベン・ハー』だから。ボクシングマンガと銘打っちゃうと、『ボクシングやってなきゃダメじゃん、となっちゃうから、それやめて』と。主人公が人を殺して傭兵になることは、編集者に猛反対されたんですよ。『いいんだよ。ボクシングマンガじゃねえんだから! 』と押し切って」