「鬼は外!」・・・追い出された鬼たち集まる“避難所”が小豆島に 「妖怪は多様性受け入れる 寛容な気持ちで」設置には深い思いも
しかし、鬼にとっては日本各地で子どもに泣かれ、豆をしこたまぶつけられる日・・・。そんな鬼に、日本で唯一かもしれない、優しい場所があるというのです。
向かったのは、香川県・小豆島にある『妖怪美術館』。
小豆島にある古民家や蔵など、4棟の古い建物をリノベーションしたという、妖怪美術館。呉服屋さんの蔵を改装した妖怪美術館の1号館にまずは案内されました。
ここに並んでいるのは、牛鬼(うしおに)や子泣きじじいなど、昔ながらの妖怪。どれも、今にも動き出しそうな雰囲気です。
館長を務めるのは、自らを「絵描鬼(えかき)」と名乗る、小豆島が生んだ希代の妖怪絵師・柳生忠平(やぎゅうちゅうべい)さんです。
この美術館にいるのは、オーソドックスな妖怪だけではありません。
“映える写真”をエサに、ひたすらハートマークを釣り上げることに躍起になっているイノシシの妖怪「亥々根憑」(いいね、つき)。
そして、みなさんのお家にもいませんか?こちらは朝、目覚まし時計をそーっと止めちゃう、その名も「妖怪ねすごし」。
そして、ここにあるという鬼に優しい場所とは『鬼の避難所』。まるで田舎に帰ってきたかのような、あたたかい茶の間。避難してきた鬼がちゃぶ台を囲み…テレビでは天気予報のような番組で「豆まき注意報」が報じられています。
「私たち(が運営するの)は妖怪美術館ですので。鬼は節分の時に豆を当てられて虐げられる存在なんですけど、その鬼さんたちを僕らが労おうと」(妖怪美術館・佐藤秀司さん)
鬼のために避難所を設け、あの人気アニメやおとぎ話の主人公たちからも、全力で鬼を守ろうとする、妖怪美術館。そこには実は、深い思いもあるそうです。
「もともと妖怪は多様性を受け入れるという考えもあります。ですので、考え方の合わない人とか、不思議な感じの人も敵対視せずに、寛容な気持ちで受け入れていこうということを鬼の避難所から感じ取ってもらえればいいかなと」(妖怪美術館・佐藤秀司さん)