エビの殻や藻から作られる美しき新素材─進化する「サステナブル・ファッション」の最前線
カリフォルニア州のスタートアップであるマイコワークス(MycoWorks)や、ボルト・スレッズ(Bolt Threads)は、いずれもキノコの菌糸を使って革のような布地を作る。
米誌「ヴォーグ」によると、米ステラ・マッカートニーは、ボルト・スレッズのキノコ革を使った初の高級バッグを2022年夏に発売した。
その他、エビの殻やキノコの廃棄物などのバイオ素材から、ヘビ革のような素材を作る米トムテックス(TômTex)も注目を集めている。
世界のエビの生産量は急増し、2015年から2021年にかけて50%増加したが、漁獲高の半分を占めるエビの殻はほとんど廃棄されているのが現状だ。トムテックスは、この殻から作った粉末を使って、濡れたように見える艶のある革を作る。その生産過程で排出される二酸化炭素の量は合成皮革を作るよりも少なく、最終的に地中で分解されるので、その環境負荷は低い。
このような新たなバイオ素材は、高級ハイファッションブランドに積極的に取り入れられている。トムテックスのエビ革を用いたパンツとタンクトップは、2022年9月のニューヨーク・ファッション・ウィークでランウェイに登場した。