身の回りのモノすべてをロボット化。『Newsweek』も注目する造形作家・安居智博の奇妙な世界
『100均グッズ改造ヒーロー大集合』という本が2022年2月に出版された。お風呂玩具の定番「ぷかぷかアヒル」の細マッチョ姿が印象的な表紙のこの本は、著者の安居智博さんによる、日用品で作った人形の作品集。大人から子どもまで、見るだけでも楽しめ、自分でも制作に挑戦できるように書かれた一冊だ。実はこの安居さん、『Newsweek』誌で「世界が尊敬する日本人100」に選ばれ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で作品の複製品が売り出された実績を持つスゴイ人なのだ。世界的な造形作家を京都の工房に訪ねた。
写真:Kami-Robo(c)2003-2022 Tomohiro Yasui / butterfly・stroke inc. All rights Reserved.
ぷかぷかアヒル、若葉マーク、タイヤ、ピコピコハンマー、灯油ポンプ……。誰もが知っている身近な日用品や駄玩具が、この本、『100均グッズ改造ヒーロー大集合』の中では、命が吹き込まれたかの姿で立ち現れる。著者は、これらの造形物の作者・安居智博さんだ。三角コーンを24個組み合わせて作った着ぐるみスーツは、SNSやメディアで見た人も多いだろう。安居さん本人がこれを着て、雑草がまばらに生えた寂しげな空間を歩く7秒間の動画は、ツイッターで17万以上の“いいね”が付き、250万回以上再生された(2022年4月現在)。
見ているだけで楽しくなる一冊であり、これらの作品だけからすれば安居さんは、人を楽しませる人形を作るほのぼのとしたアーティスト、という風に見えるかもしれない。しかし、それだけではないはずだ。何しろ、過去にニューヨーク近代美術館(MoMA)において作品が販売され、『Newsweek』誌で「世界が尊敬する日本人100」にも選出された人なのだ。安居さんとは、いったいどのような人物なのか。それを知るカギとなる「カミロボ」の紹介から、始めよう。