谷尻誠が描くメタバース時代の建築とは? 自身初のバーチャル美術館が完成。
美術界でNFTが話題となっているように、メタバースが表現の舞台となる時代には、写真もバーチャル空間で鑑賞することが当たり前になるかもしれない。そんな未来を予感させるのが『浅間国際フォトフェスティバル2022 PHOTO ALT』。アートフォト誌『IMA』を発行する〈アマナ〉主催の『浅間国際フォトフェスティバル2022 PHOTO MIYOTA』と連動してスタートする、このバーチャルフォトフェスティバル。会場となる〈amana virtual museum〉をデザインした〈サポーズデザインオフィス〉共同主宰の谷尻誠は、空間作りの意図をこう話す。
「きっかけはスイス・ヴヴェイの芸術祭で、屋外にも写真が展示されているというレポートを読んだことでした。以前から、“アート作品を鑑賞するために、どうしてわざわざ美術館を建てるんだろう?”と疑問に思っていたので、リアルとデジタルの狭間のような空間をデザインしました」
〈amana virtual museum〉は、リニアな動画ツアーのところどころに作品が設置され、じっくり見たい作品は「Gallery」と表示されたボタンをタップまたはクリックすると、ギャラリー空間へと導かれて拡大表示ができる仕組みだ。そしてギャラリー空間内の「Caption」ボタンからは、作品の詳細やアーティストのプロフィールが記載されたページに導かれる。またギャラリー空間では、アーティストのインタビュー動画を鑑賞することも可能だ。
「半屋外の空間は、自然がそのまま美術館になってほしいと思ってデザインしました。とはいえ、建設する土地の土を混ぜたRCのスラブや、ガラスチューブの開口部など、実際の建築としても成立する可能性を見込んで計画しています」