ジャン・プルーヴェのラウンジチェアが、世界150台限定復刻!
若くして鍛冶を学び、その技術力と発想力で独自のクリエーションを展開したジャン・プルーヴェ。金属の特性をよく知る彼は、最小の材料による合理的な構造を追求し、実用性や経済的合理性を含む複合的な視点からものづくりに励んだ。
自ら率いる工場で工程を確立させ、レターオープナーから、ドアや窓の部品、照明、家具、ファサード、住宅、建築モジュラーシステム、大規模な講堂や展示空間に至るまで、幅広い製品や空間を実現させた。そうした背景もあり、プルーヴェは自らを「建設者」と名乗っている。
その家具はいまや多くが復刻され、世界中で愛されている。しかし工房で自ら手を動かし、職人を率いたプルーヴェの作品には特注品や少量生産品も多い。この夏、ヴィトラはプルーヴェが1948年にデザインしたラウンジチェア《フォトゥイユ カングルー》を復刻する。もともと公共空間のために開発され、個人の住まいで使用されることも多かった一脚だ。今回は世界で150台のみを特別限定製品として展開する。
「カングルー(カンガルー)」という名の通り、ユニークなフォルムが特徴的だ。たっぷりとした重量のある座を後ろ脚が支え、快適性を追求。木製の肘掛けと背もたれを緩やかに支える構造は、荷重部分に太さを持たせる合理性とフォルムの美しさに結びつけたものだ。ヴィトラは今回の復刻にあたり、座席に柔らかな織生地のブークレを組み合わせた。その色は1950年代、プルーヴェがあるクライアントのために生み出した「プルーヴェ ブルー マルクール(Prouvé Bleu Marcoule)」と呼ばれる青色を採用した。
さらにこの秋、プルーヴェの製品はカラーパレットを新しくするともいう。日本では美術館での大規模な回顧展も始まり、ますますその功績は評価が高まっている。その貴重な復刻品を、ぜひその目で確かめてほしい。
また同じくプルーヴェによるレターオープナー《クープ パピエ》も復刻。オリジナルは家族で経営する工房によく転がっていたという、プルーヴェの妻・マドレーヌが所有していたプロトタイプ1点もの。レターオープナーとしての機能性はもちろん、オブジェとしての美しい佇まいをも備えている。