トーマス・ヘザウィックの作り出す、“共感する建築”の世界へ。日本初の展覧会が開催中!
かのテレンス・コンラン卿が“現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ”と評した奇才、トーマス・へザウィック。新たな時代を切り拓く彼のデザインはどのように生まれたのか。〈東京シティビュー〉で開催中の『ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築』(企画:森美術館)で、学生時代まで遡りながらそのルーツに迫っていこう。
Q 今回の展示をご覧になって、どのように感じましたか?
完成したプロジェクトはもちろんですが、形にならなかったプロジェクトや学生時代に提案した建築模型まで。これまでの人生におけるあらゆる作品が展示され、まるで丸裸にされたような気分です。走馬灯じゃないといいんだけど(笑)。今回の展示は〈森美術館〉の片岡真実館長がキュレーションしたもので、プロジェクトの本当の始まりとなったようなアイデアから、形にならなかった計画まで実に幅広く取り上げてくれています。
一見何げなく見える学生時代の模型が、僕にとっては本展で最も意味を持つ作品です。この制作で僕は、手でモノをつくる意味を強く意識することになったんです。これはいまでも僕にとって大きな転換点となる出来事だったと感じています。
ただし学校の評価はさんざんで、これは建築ではないと評価されました。思わず僕も「これは建築ではなく大きなチェストみたいなものですから」と返したんですけどね。ただどうしても実現したく、自らスポンサーを集めて実現に至ったのです。そうすると否定的だった声が一転し、僕は自身の考えに自信を持てるようになったのです。