会員制パフェバー「Remake easy」 パティシエ起業家の野望と哲学
店舗立ち上げ時に実施したクラウドファンディングは大成功。会費は月々3000円、客単価は約5000円というやや強気の価格設定だが、それにも拘わらず多くの会員が日夜店舗を訪れ、敏腕パティシエ考案のこだわりのパフェとオリジナルカクテルとのペアリングを楽しんでいるという。
店舗が生まれた背景やパティシエの人物像、そして舌の肥えた大人をも虜にするパフェの味わいはどんなものなのか? ベールに覆われた同店の秘密を探るべく、渋谷へと足を運んだ。
■Remake easyとはどんな店?
Remake easyは「パフェ」と「お酒」のペアリングを楽しむことができる会員制のパフェバー。住所や会員数は非公開となっており、新規会員になるには、SNSでの告知を待つことしかできないという狭き門だ。
見過ごしてしまいそうな雑居ビルに、一基しかないエレベーター。そこに乗り込むと、未知なる場所への期待とわずかな不安が入り混じり、何ともいえない緊張感に包まれる。しかし扉が開くと、目前に広がる想像を超えた世界に驚かされる。
適度に絞られた心地よい照明、カウンターを包み込むダイナミックな銅製の壁板、ゆったりと寛げるソファ席……、まるで禁酒法時代のスピークイージーを思わせる密やかなる異空間が造られていた。
この謎めいた店舗に通う会員とはどんな人々なのだろうか。会員の男女比はおよそ半々、男性会員がスイーツ好きの女性を連れてくる場合が多いが、甘党男子が一人でふらっと訪れることも少なくないという。
女性会員の場合はもっぱら女性同士でやってきて、パフェを食べながらガールズトークに花を咲かせる、いわゆる「女子会」需要が多いらしい。おしゃべりに時間を忘れてドリンクを色々楽しむため、女性グループのほうが客単価は上がるそうだ。
会員はゲストを3名まで同伴できるため、会員でなくても同店を訪問できるチャンスはある。しかし同伴者であっても簡単には会員に昇格できないため、話題の店になればなるほど、会員のステイタス感は高まることになる。
■パティシエの生い立ちと野望
舌が肥えた多くのゲストを魅了する、同店パティシエ兼CEOの林巨樹(はやし おおき)さんは27歳。千葉県の調理高校でキャリアをスタートさせた後、辻調グループのパティシエ学科に通う。同校の教員を経て、19歳の時に単身渡仏を果たし、リヨンやミュールーズで修業した。