『『鬼滅の刃』遊郭編後半の見どころと宇髄天元の魅力』へのユーザーの意見まとめ
『鬼滅の刃』の分析本として話題を呼ぶ『鬼滅夜話』(きめつやわ)の著者であり、人気連載をもつ植朗子さんに特別に寄稿してもらい、宇髄の真実と遊郭編後半の見どころを語ってもらった!
【ご注意下さい!】この記事には、漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。音柱・宇髄天元のキャラクター 音柱・宇髄天元の遊郭編での初登場シーンでは、潜入捜査に蝶屋敷(=胡蝶しのぶの邸宅)の少女たちを連れて行こうとして、炭治郎たちと揉め事になった。しかし、宇髄は年下の隊士たちとワイワイ騒いでいるだけで、上官である「柱」として無理矢理命令を下したり、腕力で言うことを聞かせたりはしなかった。
宇髄は後輩剣士たちを叱ることはあるが、その場を華やかにするような、明るくユーモアのある話し方が特徴的である。
しかし、その一方で、宇髄は時々無言になることがあった。宇髄は元・忍だったこともあり、ポーカーフェイスでいることも、嘘をつくのも、とても上手にやってのける。整った顔立ちに、冷めているような表情を浮かべ、苦悩や苦痛を表に出すことはかなり珍しい。
あれほど気さくに仲間たちと話しているにもかかわらず、なんとなく「本心」がどこにあるのか分かりづらい人物なのだ。周囲を助けることに尽くす宇髄 自らを「祭りの神」と自称し、場を盛り上げる宇髄であるが、彼のセリフには、嘘も虚勢もハッタリも本音も混ぜこぜになり、語り口が目まぐるしく変化する。同じ柱である煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)とは対照的だが、これも宇髄ならではの魅力といえるだろう。
遊郭の戦いで、鬼の上位実力者である「上弦の陸」の堕姫・妓夫太郎兄妹に、自分の妻と善逸がさらわれた時、本来であれば、鬼殺隊側の人員は多いほど有利であるにもかかわらず、宇髄は炭治郎と伊之助だけでも逃がそうとした。
〈消息を絶った者は死んだと見做す〉(宇髄天元/9巻・第75話「それぞれの思い」)
そんなことを言いながら、宇髄は「後は俺一人で動く」と、危険な任務を自分だけで続けようとする。「死んだと見做す」という言葉とは裏腹に、宇髄は他者の救出のために、自分の命は平気で賭ける人物であることがわかる。
「お前はもう何もしなくていい」(9巻・第77話)、「まきを 須磨 遅れて悪かったな」(9巻・第79話)、と優しく妻たちをねぎらう宇髄の名セリフがいくつもあるが、遊郭編後半、妻の最大の危機の際に、宇髄がいつものポーカーフェイスを崩す場面は、見どころのひとつだ。宇髄の熱い心を読み取ることができる。次ページは:宇髄の弱音前へ123次へ1/3ページ