世界的アーティスト蔡國強、ゆかりの深い日本への思いを語る
蔡國強(ツァイ・グオチャン)
1957年中国福建省泉州市生まれ。上海戯劇学院美術学部を卒業後、’86年12月、のちに妻となる画家の呉紅虹(ウ・ホンホン)とともに来日。’95年渡米。’99年ヴェネチア・ビエンナーレ国際金獅子賞受賞。2008年北京オリンピック開閉会式で視覚特効芸術監督を務める。グッゲンハイム美術館やプラド美術館、ウフィツィ美術館など世界各地で個展を開催。いわき回廊美術館館長。
6月29日から、国立新美術館で蔡國強の大規模個展『蔡國強 宇宙遊―<原初火球>から始まる』が開催される。
<原初火球>の展示は、当初の7点の火薬ドローイングのうちの3点が、鏡とガラスを用いた新たな火薬画に取って代わられ、しかも、その制作には「AIツァイ」なる蔡の“子ども”が参加しているという。
「名前の表記は、小文字のcを使って『c AI』となります。私の名前と一緒ですね(笑)。スタジオが独自に開発した人工知能のプログラムで、これまでの私の作品や新しい構想スケッチ、屛風絵のフォーマットなど大量の画像を送り込むと、翌朝には返事が届いています。『外星人のためのプロジェクト』の構想図が、何枚も流れてくるんです」
「ここ数年で世界は大きく変わり、私も65歳になりました。かつての自分への旅とはいえ、30代の頃と同じことをやるわけにはいかない。火薬やガラスといった昔ながらの素材に最先端の技術を応用する。AIとの対話は、神秘的な力を背後に感じることですし、人間について考えることでもある。結局、美術とは何か、アーティストとはどういうものかについての思索につながっていくのだと思います」
2014年に中国の上海当代芸術博物館の外にある川で行われた昼花火「挽歌」。福島県いわき市の海岸で打ち上げられる花火「満天の桜が咲く日」では、海面から立ち上がる白波や黒煙による花輪など、多彩な場面展開を経て、最終的に桜の花びらが空から舞い降りるといったイメージが予定されている(インタビューはいわき市でのイベント前に行われた)