建築家が手がけた、空間ごと味わうカフェ。|安田幸一〈パンとエスプレッソと福田美術館〉
額縁庭園のごとく切り取った嵐山の眺め。
近世~近代の京都画壇を中心に日本画をコレクションする〈福田美術館〉では、併設のカフェもまた一幅の絵を眺めるように仕立てられている。天井や床には温もりあるオーク材を使用し、壁一面には大きなガラス窓が。
中庭の水盤越しに流れる大堰川、そして渡月橋を見る絶景ポイントでもある。時にその眺めは柱で切り取られ、額縁庭園を思わせる。渡月橋のたもとという贅沢な立地にありながら、美術館の性質上叶わない開放感をここに集約。その絶景とともに、穏やかな時間を演出してくれる。
2019年開業。伊藤若冲や竹内栖鳳ら、近世~近代の京都画壇を中心に所蔵する私設美術館〈福田美術館〉に併設。●京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 TEL 075 863 0606。10時~16時30分LO。火曜休(祝日の場合は翌日)。利用には美術館入館料が必要。