共通テスト始まる 長引くコロナ禍、医療系人気 強まる「実学志向」
ひとつは、コロナ禍で医療従事者の活躍に注目が集まったからか、医療系の学部が人気だという。難関の医学部に挑戦しようという受験生だけでなく、獣医学部、薬学部、看護学部なども人気があるという。
さらに、国公立大の理系学部で、志願者の増加が目立っているのが、近年低迷気味だった農学部だ。
河合塾主席研究員の近藤治さんは「(持続可能な開発目標である)SDGsへの関心の高まりから『食』分野への問題意識を持つ生徒が増えたことも、きっかけかもしれません」と分析する。
理系学部のなかで比較的公務員採用が多いのも選ばれる理由に。また、食料危機が現実味を帯びたロシアによる小麦輸出大国・ウクライナへの侵攻も農学部の学びに関心を持つきっかけになっているようだ。
また、保護者世代のときにはなかったような新しい学部も次々と登場し、注目を集めている。近年相次いで新設されている情報やデータサイエンス系の学部は平成29年にデータサイエンス学部を開設した滋賀大をはじめ、年々増えている。
背景にあるのはデジタル人材の不足だ。世界からの後れを取り戻そうと政府が「AI戦略」を策定。データサイエンス・AIを理解し、各専門分野で応用できる人材を育成しようとしている。
文系学部では、就職や資格取得につながると、法学部が比較的人気。一方、コロナ禍前は人気を誇っていた国際系、外国語学部は、海外留学に制限がかかっていたこともあり、以前に比べると低調だ。
また感染拡大が始まった当初は、一時、都心の大学を敬遠し、地元志向が強まっていた。しかし、昨年あたりからチャレンジ志向も復活。地方から東大や京大を目指す受験生も増えているという。