純金より高価な桐箱入りサフラン「AKAITO」産地を訪ねる
レシピは簡単で、まず、チキンや海老、貝類をオリーブオイルで炒め、いったん取り出す。同じ鍋で赤と黄のパプリカを炒め、これまたいったん取り出す。その鍋で今度はタマネギやマッシュルームなど野菜を炒め、さらに米(2合)を洗わずに炒め、透き通ったら米と同量のスープを入れて、チキンを戻してフタをし、15分ほど炊く。炊き上がったらフタを開けて魚介、パプリカを上に乗せ、またフタをして、しばらく蒸せば出来上がり!
もし水っぽかったら、フタを開けたまま少し加熱して、鍋縁のお米がパリパリになるまで焼けばOK。仕上げにレモンを添えて「ギュッと絞りながら食べてね」なんて言いながら、食卓に出した瞬間、いつも気づくのだった。
「あ、サフラン入れ忘れた」
サフランは言わずとしれた高級食材。スーパーマーケットでは親指ほどの小瓶が1500円ほどもするから、気合を入れて購入しても大事にしまい込んでしまい、すっかりその存在を忘れてしまうのだ。もったいない。
ある日の私作パエリア。この日もサフランを入れ忘れたため、ごはんはスープで染まった薄茶色になっている。
このサフランのあるのとないのでは、パエリアの仕上がりが大きく異なる。
まず色。サフランを入れたら、ごはんがあざやかな黄色になり、見た目に華やか。次に香り。サフランのほんのり甘くスパイシーな香りがシーフードの淡泊な旨味をより複雑に引き立ててくれるよう。つまり、自作の拙いパエリアをぐっと本格的にしてくれるのがサフランというわけだ。サフラン、忘れるなかれ。
そんな話を友人たちとしていたら、「サフランって国産もあるんですよ。とても高級で、ミシュランの星つきレストランでも使われてるんですって」と教えてくれたのは旧知のファッションPRのセイコさん。「え、サフランが日本で?」。中東からのお土産でもらうことも多いので、すっかりアチラ産しかないのかと思っていたが、実は江戸時代から日本でも栽培されていたのだそうだ。
どこで? どんな風に? そもそも日本でサフランを食用にしていたのか?
気になることが多すぎたので、セイコさんと旅に出た。向かうは佐賀県鹿島市。国産サフランブランド「AKAITO(アカイト)」の産地である早ノ瀬地区である。
棚田が美しい山間の集落、早ノ瀬地区。多良岳山系の水にも恵まれ、サフラン栽培に適している。