台湾に新たなランドマーク。「台北パフォーミングアーツセンター」が開館
OMAと台北の建築事務所「KRIS YAO | ARTECH」、エンジニアリング会社「Arup」、景観・インテリアデザインスタジオ「Inside
Outside」が共同で設計したTPACは、夜市で知られる台北の士林区に建設されている。5万9000平米におよぶ巨大な複合施設は、センターキューブを中心に、3つのシアターで構成されている。
惑星をイメージしたという球形の800席プロセニアム劇場「グローブ・プレイハウス」に加え、幅広い舞台芸術に対応する1500席の「グランド・シアター」や、実験的なプログラムを行う800席の多面体劇場「ブルー・ボックス」、そしてこのふたつの劇場をあわせた2300席の巨大なパフォーマンス空間「スーパー・シアター」が設けられている。
またチケットの有無にかかわらず、一般の来場者は劇場のインフラや制作スペースなど、隠された部分を通るパブリック・ループを利用することが可能。ループの途中にあるポータルウィンドウを通し、劇場間のパフォーマンスやテクニカルな空間を覗き込むことができる。
TPACの会長であるリウ・ルオユは声明文で、「台北パフォーミングアーツセンターの開館は、ここ数年の台湾でもっともエキサイティングで刺激的な文化的出来事だ」とし、「私たちは、アーティストがその潜在能力を発揮できるよう、上から下まで、内外を問わず、あらゆるスペースを提供したいと思う。また、技術的なサポートやプロモーションを含むリソースや専門知識をアーティストに提供し、若手アーティストが成長できるようにし、ベテランアーティストが次世代に向けて傑作を生み出すことを促進したい」と述べている。
OMAのファウンディング・パートナーであるレム・コールハースは、次のようにコメントしている。「コンペティションのために初めて台北を訪れたとき、この都市は実験に意欲的であると感じた。この建物はその発見に対する回答だ。私たちは、3つの伝統的な劇場を統合し、演劇制作者にまったく新しいスペクタクルやパフォーマンスを生み出す機会を提供する。市、協力者、建築家の知識、創造性、忍耐力によって初めて可能になった舞台芸術センターの実現に向けた努力の一端を担えたことを誇りに思う」。
オープニング・シーズンでは37作品、142公演が予定されている。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した台湾の映画監督ツァイ・ミンリャンが、唐代の中国の僧侶・玄奘の巡礼の旅を再現した「The
Monk from Tang
Dynasty」や、香港の劇作家ヴィー・レオンがシェイクスピアの『テンペスト』を出発点に、香港と台湾での自由を求める物語を描いた「In Search of
the Miraculous」などのコンテンポラリーシアターのほか、伝統演劇、ダンス、音楽、VRとシアターを融合したプログラムなど行われる。