ドナルド・キーン生誕100年 埼玉・草加に顕彰碑完成 長年の縁で
キーンさんは88年に市内であった「奥の細道国際シンポジウム」で講演して以来、市主催の「奥の細道文学賞」の審査員を務め、近世の俳人についての評論などに授与される「ドナルド・キーン賞」も創設。「漸草庵」の命名者となるなど長く行き来が続いた。
碑は20年暮れに市民有志が発案。市内の松尾芭蕉像も作った彫刻家・麦倉忠彦氏にキーンさんの肖像のレリーフ制作を依頼する一方、今井宏元市長を会長とする「ドナルド・キーン先生を顕彰する会」として協賛金を募集したところ、市内を中心に297件計316万円が集まった。
レリーフはブロンズ製で真理を見つめるようにきりりとした表情のキーンさんと、氏が好きだった「日本を寿(ことほ)ぐ」という揮毫(きごう)が刻まれている。キーンさんの顕彰碑は全国でも初めて。
除幕式で、今井元市長は「先生の本市への温かい尽力に改めて感謝する。多くの協賛をいただき有り難い。市民一同、先生の思いを大切にしていきたい」と述べた。キーンさんの養子のキーン誠己さん(72)は「父は学者として目線を大事にしていた。それがよく表現されており感動した。父もきっと喜んでいると思う」と語った。【武田良敬】