約30年ぶりの若林奮からマルジェラ、朝倉文夫まで。3連休に見たい展覧会8選
静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で、「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」が開幕した。本展では、同館所蔵品の核のひとつである仏教美術のなかでも圧倒的なエネルギーに満ちた《十王図・二使者図》(中国・元~明時代)と、ともに伝来したとされる《地蔵菩薩十王図》(高麗時代)を、1999年の「仏教の美術」ぶりに揃って展示。
近年修復をおえたばかりの日本と中国の仏教絵画や江戸絵画の名品に加え、円山応挙《江口君図》が重要文化財に指定されている《普賢菩薩像》や《西行物語》とともに展示されるという。国宝1件、重文2件、重美5件が集う貴重な機会となっている。
会期:2023年8月11日~9月24日
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00(金は~18:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、9月19日
観覧料:一般 1500円 / 大学生・高校生 1000円
トルコを目指した男の軌跡をたどる。「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」(ワタリウム美術館)
1890年、日本に到着したオスマン帝国軍艦・エルトゥールル号が、帰路、台風で乗組員のほとんどが命を落とした事故に心を痛めた青年、山田寅次郎は義捐金活動を開始、集めた義捐金を持参しオスマン帝国へと向かった。わずか24歳の目に映ったのはオスマン文化の荘厳さと人々の暖かさだった。
本展は、山田寅次郎という明治の人物を介し、日本とトルコという異なる歴史を持つ2つの国が交流する様子を伝えながら、相手の文化を深く尊敬することの大切さを感じる機会を創出するもの。絵葉書や映像、アニメーションで山田の軌跡を明らかにしていく。
会期:8月11日~11月19日
場所:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間:11:00~19:00
休館日:月(9月18日、10月9日は開館)
料金:大人 1400円 / 大人ペア 2400円 / 学生(25歳以下)、高校生 1200円
人間を成り立たせているものをアートに。「セントラルドグマ ~生命(いのち)の根源が描き出すサイエンスアート」(東京タワーフットタウン)
「セントラルドグマ ~生命(いのち)の根源が描き出すサイエンスアート~」が、東京タワーのフットタウンで開催される。会期は8月11日~13日。
サイエンスの魅力や美しさを感覚的に伝えることで、広い人々に身近に感じてもらいたい。そんな思いに共鳴した4名のアーティストが、人間の身体のもっとも身近であり、そしてもっとも見えにくい「セントラルドグマ」(遺伝情報伝達の概念)を体験できる作品を制作した。参加アーティストはKikoh
Matsuura、Masaki Teruoka、Tsuyoshi Otabe、N/A
会期:2023年8月11日~13日
会場:東京タワーフットタウン
住所:東京都港区芝公園4-2-8
開場時間:11:00~20:00(11日は13:00~)
料金:無料
30年ぶりの展示に出会う。「若林奮 森のはずれ」(武蔵野美術大学 美術館・図書館)
武蔵野美術大学美術館・図書館で「若林奮 森のはずれ」が8月13日まで開催されている。若林奮は1936年生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻学科を卒業後、75年より武蔵野美術大学で教鞭をとった。
81年、若林は学内にある工房内に鉄板をたて、自らのために10畳ほどの空間を制作。その後、「鉄の部屋」という通称を持つようになったこのスペースの周囲を鉛で覆い、周辺に植物や大気を表す鉛の板やキューブを配置して《所有・雰囲気・振動―森のはずれ》(1981~84)として発表。自分自身が所有できる空間を区切ることで生まれた境界や領域をめぐり、自身を軸とした周縁、自然への思索を一層深めていった本作は、若林本人を含んだ自然や風景そのものの具現化を試みた作品だ。
本展では、若林が彫刻観を拡張させるきっかけとなった極めて重要なこの作品を、約30年ぶりに展示。この作品のほか、90年代の代表作《Daisy
I》全10点をはじめとする大型彫刻や若林の夥しい思索の一端が見えるドローイングや小品、資料約100点が鑑賞できる。
会期:2023年6月1日~-8月13日
会場:武蔵野美術大学 美術館・図書館
住所:東京都小平市小川町1-736
電話番号:042-342-6003
開館時間:11:00~19:00
休館日:水
料金:無料
「猫」を通じたコミュニケーション。「朝倉⽂夫⽣誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在」(⼤分県⽴美術館)
彫刻家・朝倉文夫(1883~1964)の生誕140年を記念した展覧会「朝倉⽂夫⽣誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在」が⼤分県⽴美術館で8月15日まで開催中だ。展覧会レポートは
こちら。
朝倉は⼤分県豊後⼤野市朝地町出身で、1909年に東京美術学校彫刻選科を修了。徹底した⾃然主義的写実を貫き、48年には彫刻家として初めて文化勲章を受賞するなど、⽇本の彫塑界をリードする中⼼的な存在として⼤きな⾜跡を残した。
本展では、朝倉の創作を振り返るとともに、大分を拠点に国内外で活躍する現代作家らが朝倉作品との共演を果たす。朝倉の彫刻作品、なかでも「猫」の作品を軸に、現代作家らによる視点で新たな解釈が加えられている点が特徴となっている。
会期:2023年6月9日~8月15日
会場:⼤分県⽴美術館 1階 展⽰室A、アトリウム
住所:大分県大分市寿町2-1
電話番号:097-533-4500
開館時間:10:00~19:00(金土~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1000円
最新コレクションのインスタレーション。「シネマ・インフェルノ」(パークウェースクエア2)
8月10日に表参道店のリロケーションオープンを行ったメゾン
マルジェラ。それを記念し、最新の2022年「アーティザナル」コレクションを展示するオフサイトのインスタレーション「シネマ・インフェルノ」が8月15日まで東京・渋谷のパークウェースクエア2で開催されている。会場レポートは
こちら。
このインスタレーションは、メゾンのクリエイティブ・ディレクター、ジョン・ガリアーノが構想した物語『シネマ・インフェルノ』に基づいたもの。昨年7月、パリのシャイヨー宮での2022年「アーティザナル」コレクションの発表において、ジョン・ガリアーノはイギリスの演劇カンパニー、Imitating
the Dogとコラボレーションし、この物語をオートクチュールと映画、演劇が一体化したアッサンブラージュ・パフォーマンス作品として完成させた。
会期:2023年7月29日~8月15日
会場:パークウェースクエア2
住所:東京都渋谷区神南1-19-10
開館時間:11:00~20:00(8月9日15:00~20:00はクローズ)
料金:無料 ※事前予約可。受付はこちら
時代と街をつなぎとめる。グレート・ザ・歌舞伎町 写真展「どうも」( B GALLERY)
B GALLERYで「グレート・ザ・歌舞伎町 写真展『どうも』」が開催されている。会期は8月13日まで。
グレート・ザ・歌舞伎町は東京生まれ。写真家として雑誌、広告を中心に活動している。ザ・グレート・カブキのポートレートから始まる新作は、コロナ禍、東京オリン
ピック2020、都知事選や国政選挙、故・安倍晋三元首相の国葬など、令和という時代に刻まれる忘れがたき事象が連なる。
そのいっぽうで、北島三郎が大衆を熱狂させたコマ劇場跡地に建設されたゴジラビル、東急歌舞伎町タワー、ブロックパーティー、
トー横キッズ、ハイジアのプールなど、路上と中空の視点から切り取られた歌舞伎町という街の変貌といまが、「日本の忘れ形見」にクロッシングする。そして、絶対的に変わらないこと、継続して追いかける人物や伝統芸能、ハレの
景色と祭の断片が句読点のように時代と街をつなぎとめている。
会期:2023年7月27日~8月13日
会場:B GALLERY
住所:東京都新宿区新宿3-32-6 B1F - 5F
電話:03-5368-7300
開館時間:11:00~20:00
観覧料:無料
音楽をテーマにアーティストが集う。「Rewind」(OIL by 美術手帖 ARTWORKS)
OIL by 美術手帖ギャラリーで、展覧会「Rewind」が開催されている。
本展のテーマは「音楽」。心を揺り動かし、人と人をつなぐ力を持つ音楽の魅力を、参加アーティスト作成のプレイリスト、オリジナルカセットテープ、作品展示の3つのコンテンツで表現する。
参加アーティストは、ESSU、江崎愛、岡田杏里+Julio Cann
González、緒方数馬、北山雅和、SEEM、高須咲恵、DEADKEBAB、Dokkoi、ヒロ杉山、TAIJI
MOTOI。様々なジャンルで活躍する11組のアーティスト・クリエイターによる作品から、それぞれの音楽との向き合い方を垣間見ることのできる展示となっている。
会期:2023年8月4日~8月14日
会場:OIL by 美術手帖 ARTWORKS
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階
電話:03-6868-3064
開館時間:11:00~21:00