現代美術×骨董の新展開! 村上隆と村田森の二人展が開催中。
希少な、古いものを扱う骨董と新しいものを生み出す現代アートは、同じ美術でもその方向性はまったく異なる。しかし昔から「写し」と呼ばれる、骨董にインスピレーションを受けた作品は多く、20世紀を代表する芸術家、北大路魯山人もさまざまな写しの作品を残している。
今回は、染付の歴史と魯山人が写した作品をテーマに、村上隆が4点の絵画を、村田森は約200点もの陶芸作品を発表する。二人展は初めてのことだ。村田森は村上率いる〈カイカイキキ〉所属のアーティストで、2020年、京都に器ギャラリー〈となりの村田〉をともにオープンさせ、さまざまな作品の発表や展示を行ってきた。中でも魯山人が写した信楽の壺をさらに写した作品が話題で、古美術店である〈大塚美術〉との出会いにもなったという。
陶芸や骨董のコレクターでもある村上は、好きだったという魯山人の皿の魚の絵柄と〈大塚美術〉で見た李朝の作品から龍を描いた。小さな作品だからこそ、通常の2倍以上の時間をかけて仕上げられている。
村田が得意とする染付は、白い生地に呉須(ごす)と呼ばれる藍色の顔料で絵付した陶磁器のことで、中国・元の時代に始まり、ベトナムや韓国、日本へと国と時代を経て、それぞれ模倣を繰り返し発展してきた技法である。また魯山人が古染付から写した作品も多く、それらを合わせて多種多様な作品が生まれた。
「古いものに価値があるのが骨董の世界ですが、魯山人が写した古い作品より、魯山人の新しい写しの方が評価も高い。その差は魯山人が持つストーリーなのではないか、今の骨董に足りないのはそんな物語じゃないかと感じていました。この展示から、新たな出会いがあり、お客さん自身がストーリーを作っていってほしいと思っています」(村上隆)