2023年のプリツカー建築賞、デイヴィッド・チッパーフィールドが受賞
チッパーフィールドは1953年ロンドン生まれ。1976年にキングストン大学、1980年にロンドンの建築協会付属建築学校を卒業。ダグラス・スティーヴンやノーマン・フォスター(1999年プリツカー賞受賞者)、故リチャード・ロジャース(2007年プリツカー賞受賞者)らの下で働いたのち、1985年にロンドンで自らの事務所デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツを設立した。
1983年にロンドンのスローン・ストリートにあるイッセイ・ミヤケ店舗の内装をデザインし、日本での建築活動につながった。89年に母国での最初の作品となるリバー・アンド・ローイング・ミュージアムを設計し、その後は海外での活動を拡大。これまでに、ベルリン新博物館(ドイツ・ベルリン)、ジェームズ・サイモン・ギャラリー(ドイツ・ベルリン)の再建・改築や、フィゲ美術館(アメリカ・ダベンポート)、デ・モイン公共図書館(アメリカ・デ・モイン)の設計などを手がけてきた。
プリツカー建築賞は声明文で、チッパーフィールドを次のように評価している。「歴史と文化への敬意を示しながら、既存の建築物や自然環境を尊重し、気候の緊急性に立ち向かい、社会関係を変革し、都市を活性化する時代を超えたモダンデザインを通じて、新しい建物、改修、修復の機能性とアクセシビリティを再構築する、抑制の中に過激さを持つ多作家だ」。
また、チッパーフィールドは今回の受賞について、「この賞を励みに、建築の本質とその意味だけでなく、気候変動や社会的不平等といった本質的な課題に対して、建築家としてどのような貢献ができるのかに、これからも目を向けていきたい」としつつ、次のようにコメントしている。
「私たちは、建築家として、より美しい世界だけでなく、より公平で持続可能な世界を創造するために、より顕著で積極的な役割を果たすことができることを知っている。私たちはこの挑戦に立ち上がり、次の世代がビジョンと勇気をもってこの責任を受け入れるよう、鼓舞する手助けをしなければならない」。
「建築のノーベル賞」とも言われるプリツカー建築賞。これまで、ザハ・ハディッド、レム・コールハース、フランク・ゲーリーや、日本からは丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛、伊東豊雄、坂茂、
磯崎新が受賞している。