令和3年度芸術選奨が発表。大臣賞に鷹野隆大や川口隆夫、新人賞には四代 田辺竹雲斎や山城知佳子らを選出
美術部門では、鷹野隆大が大臣賞に選出。また、同部門の新人賞には四代 田辺竹雲斎と山城知佳子が選出された。
鷹野の贈賞理由については「日本の男性写真家としては珍しくジェンダーやセクシュアリティを撹拌する作品で知られる」としたうえで、「1998年から続けている『毎日写真』を中心に、日本の無秩序な町並みや影を写した作品等、テーマも様式も多岐に及ぶが、一貫して制度化された眼差しについて思考し、それに対しての疑問を提示し続けている」と評した。
新人賞の田辺竹雲斎は「代々竹工芸を営む家系に生まれ、伝統的な修行を積むことにより、伝統技法を生かした竹工芸の器などの作品を作る。(中略)竹工芸家として日本を代表する作家となっている」「その活動は竹工芸家としての領域を超越し、美術家として、更なる新しい領域へ広がりつつある」と評価。
同じく新人賞の山城については「生まれ育った沖縄の風土と歴史、政治的状況に対峙し、時に俯瞰的で批評的な視点によって、映像・写真作品を創出してきた」と評価。「様々な次元で自覚される境界を、身体感覚に訴えかけて突破しようとする創作は、氏の誠実さと力強さとして、説得力をもって評価された」とした。
また、芸術振興分野ではダンサーでありパフォーマーの川口隆夫が選出された。コロナ禍において多くの舞台公演の中止が余儀なくされたなか、「TOKYO REAL
UNDERGROUND」や「INOUTSIDE」のディレクターや共同企画者を務め、パンデミックという非常事態をポジティブにとらえる試みを実現したことを評価。「逃れがたい病や死を『表現』によって受け止めようとする芸術の在り方を問い直す、ダンスというジャンルを超えた表現者としての挑戦そのものだった」とした。