100万円の「けん玉」も 1ミリ以下の手削りの技で造形美を追究する木工会社【広島発】
安部友裕さん:
木のにおいがすごい。何これ、無茶苦茶かっこいいな
数々の木工製品が並んだ不思議な空間に足を踏み入れた安部さん。
光沢を放つ黒いけん玉に目が釘付けに。
安部さん:
これ何?すごいな。
ディレクター:
おいくらくらいすると思いますか?
安部さん:
4万8000円?
ディレクター:
およそ7万円だそうです
これは高級家具などに使われる希少な木材・黒檀のけん玉。
けん玉発祥の地・廿日市市のイワタ木工で作られている。
けん玉に造形美を追い求め、進化を続けるものづくりの現場を安部さんが取材。
案内役はイワタ木工の岩田知真社長(40)。この道30年のベテラン職人だ。
安部さん:
お、丸いものを見たら投げたくなりますね。投げたくなるな…
イワタ木工 岩田知真社長:
ダメです!
これはけん玉の玉なんですけど、いま粗加工が終わって、いまちょうど研磨をしているところなんですよ。
山積みになっていたのはヤマザクラの木でできたけん玉の玉。仕上げ加工をする前と後では質感に大きな違いが出る。
岩田社長:
磨きが粗い状態だと結構表面が粗いんです
安部さん:
そうですね、僕の若かりし頃みたいに粗いですね荒々しいですね、これは
岩田社長:
磨いたものがこういう感じ…
安部さん:
うわー。なめらか。ツルツル。
安部さん:
前田智徳さんのスイングくらい滑らか!めちゃくちゃ滑らか
安部さん:
人生みたいなもんですね
岩田社長:
だんだん大人になってる?
安部さん:
角が取れてしっかり丸くなって、僕も本当に丸くなりました
どうやって表面をツルツルにするのか。紙やすりで仕上げるミリ単位の「研磨」の技を間近で見せてもらうことに。
安部さん:
回っているように見えない!
岩田社長:
仕上げていくときれいさが出てくるので…
岩田さんが長年培ったノウハウで粗い目と細かい目の紙やすりを使い分け、限りなく、まん丸な球体へと近づけていく。
安部さん:
サクサクサクとやっていたんですけど、あれも熟練の技でやり続けて習得した技なんですよね
岩田社長:
玉が回転して磨くんですけど、磨いているときにどこが1番回転して磨けるのか、どこが1番磨きにくいのかペーパーのアクションを変えているんですよ。1万個くらいやったらうまくなります
安部さん:
1万スイングしたらやっぱり打てますよ。野球人も
イワタ木工は「MUGEN MUSOU」の名でけん玉をブランド化し世界中にファンがいる。設計から製造までを一貫して行っていて、緻密なものづくりの姿勢は持ち手の「けん」の部分にも宿っている。
岩田社長:
技をやったときにここって一応、けん玉の玉が乗るんですよ
岩田社長:
こうやって…。乗せるためのここの高さのバランスとかも、ここで整えていかないと
安部さん:
えええええ!そこ乗るんですね
手作業でこの精度の高さ。まさに職人技としか言いようがない。
岩田社長:
この大きさ、この高さというのは全部計算しているんですよ。計算することによってのバランスがあって、そこを考えて作っているんで、けん玉って奥深いんですよ