ニューヨーク通信:Photobook Now vol.1
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第一回で紹介する新刊は、まずインスタグラムのフォロワー数33万人の写真家・ダニエル・アーノルドが、自身のSNSを通したプロモーションをしたことによって発売前から大きな話題を呼んだ写真集『PICKPOCKET』。アーノルドが写真に興味を持ったきっかけや写真集に込めた思いを語ってもらった動画も紹介する。2冊目は、奴隷制度とニューヨークとの知られざる関わりを、セルフポートレイトを通して提示し、ブルックリン美術館でローンチイベントを開催したばかりのノナ・フォスティンによる『White Shoes』。そして最後に紹介するのは、8ball communityの創立者で、現在は看護師として働く写真家のレレ・サヴェリによる少部数のZINE『LUNA 91』である。3つの新刊から、ニューヨークの写真家たちが閉ざされた状況の中でも前向きに活動するパワフルな姿が伝われば嬉しい限りである。
『ニューヨーク・タイムズ』に「インスタグラムのエグルストン」と評された写真家ダニエル・アーノルドは、33万人のフォロアーを誇る人気インスタグラマー。『PICKPOCKET』は、2012年から2020年初頭まで、スピード感あふれる街の喧騒や個性豊かなニューヨーカーたちが織りなすリアルな人間模様をとらえたストリートフォト143点が収録されたアーノルドの初写真集である。リリース前にインスタライブを通した宣伝を何度も行い、発行部数3,400冊のうち2,700部を先行予約で売り切る驚異の記録を打ち出した。版元は、映画監督のサフディ兄弟が主宰するElara Press。アーノルドが、彼らの代表作『グット・タイム』のキャスティングスタッフとして仕事をしたことがきっかけで『PICKPOCKET』を出版することとなったという。ジャンルにとらわれず、映画製作が主体の出版社から本書を刊行し、SNSを駆使したプロモーションを積極的に行ったことが、リリース前にも関わらず写真集が飛ぶように売れた秘密なのかもしれない。
動画では、ニューヨークでライターとして活動しながらも、常にカメラを手放すことはなく、ニューヨークの街を撮り続けたことで自然と写真家になっていたエピソードや写真集ができるまでについて話してくれた。いつも何かが起こっているニューヨークのストリートは、アーノルドにとって写真を学ぶフリースクールだったそう。『PICKPOCKET』は、版元に大量の写真をわたし、「トラベル」「ハプニング」「携帯電話」などのセクションに分けながら編集していき、最終的にはカオスも表現できたという。東京には1週間しか滞在したことがないので、写真集を持って再訪したいとのこと。ぜひいつか来日してほしい!