妹島和世デザインのラボで、「アンドロイド・オペラ®」プロジェクトが進行中。
妹島和世が設計した大阪芸術大学アートサイエンス学科棟に、新しいラボラトリーが誕生した。音楽家の渋谷慶一郎、ロボット工学者の石黒浩らが参加する「アンドロイド アンド ミュージック サイエンス ラボラトリー(AMSL)」は、2025年開催の大阪万博に向けて新しいアンドロイド・オペラ®を制作する。妹島がインテリアもデザインしたラボのお披露目に、3人の鬼才が集った。
Q 妹島さんがラボをデザインするのは初めてと伺いました。
渋谷慶一郎 妹島さんの仕事をずっと見てきました。ファンだったので、実現するかなと思いつつ、お願いしてみました(笑)。
妹島和世 日本科学未来館で行われたアンドロイド・オペラ®(2018年『Scary Beauty』を観て、すごく面白かったんです。観客がどんどん引き込まれていって。そうしたことに関われるのなら面白いかなと。部屋としては難しいんですよ。いくらでも作れる感じになっているので。でも、ここに渋谷さんとオルタくん(アンドロイド)がいてくれたら、雰囲気が出来上がっていくと思う。
石黒浩 ラボというより自分のクリエイティブなオフィスですね。人間は環境と呼応しながら色々なものを生み出していく。環境がよくないとダメなんです。このまんま持って帰りたい(笑)。照明の色もいいですね。淡いグリーンというか、生命感があって。アンドロイドが際立つ。
渋谷 集中度も上がります。僕が最初に見た時は、もうちょっと殺風景で。絶対妹島さんはこのイメージじゃないと思って、急いで連絡しました。
妹島 集合になりましたね(笑)。照明が普通の白だったんです。
渋谷 スピーカーが8ch入っているので、音像が移動する研究もここでやろうと思っています。
Q 家具も妹島さんがデザインされたとか。
妹島 そもそも置いてある機材が、ものとして力強いしきれい。だからテーブルも金属で、普通より厚くしました。繊細さよりは、質量のある方が全体的に合うと思ったんです。すべてが一つになって雰囲気を作り上げるから、それに合うようなものにならないと。
渋谷 机も3本脚なんですよね。
妹島 ピアノもスピーカーもみんな3本脚で立っていますから。
渋谷 ここには最先端のアンドロイドだけでなく、ピアノも木製のシンセサイザーもある。古いものと新しいものが混ざり合った方が、強くて新しいものも生まれます。
Q オルタも溶け込んでいますね。
石黒 新作の「オルタ4」です。
妹島 私が未来館で観たのは?
石黒 「オルタ2」で、「2」から上下動を始めました。人間や生物は上下動が大事。植物は横なんです。生きているものは縦に揺れるから、縦に動くと生々しさが出る。