生物多様性遺産図書館で世界中のあらゆる生命にオンラインアクセス
最近世界は100億ドル(約1兆3500億円)のウェッブ宇宙望遠鏡から地球に送られてきた壮大な写真の数々を見て圧倒された。この技術的驚異のおかげで、私たち誰もが、これまで見たことのない、今後誰も決して訪れることのない惑星や恒星や銀河を見つめられるようになった。
しかし、私たちが便利に訪れることのできるところにも、珍しくて美しい世界が存在する。それはたった今私たちが住んでいる場所、地球だ。ただ、地球上の生命を探究し、その複雑さを垣間見ることを望んでいる人たちは、それが消滅しないうちに行動を起こす必要がある。世界的な気候変動と増え続ける生息地喪失などの理由によって、生物多様性の大規模な喪失は、いかなる人間がカタログ化するよりも早く進行している。さらに、生物多様性に関する情報のほとんどは、世界の数少ない図書館に所蔵されているごくわずかな書籍からしか得ることができない。私たちはどうやってこの資料を利用すればよいのだろうか? その存在すら知らないものをどうやって研究すればいいのだろうか?
Biodiversity Heritage Library(BHL、生物多様性遺産図書館)のおかげで、世界中の人々が、地球の驚くべき生物多様性に関する世界の集合知を調べるスタート地点に立つことができるようになった。生物多様性を研究し、理解を深めるために不可欠な情報の大部分が世界のごく限られた図書館に所蔵されているが、今や世界中の誰もが、インターネット接続さえあれば、これらの資料と付随する貴重な文献、地図、写真、図版などを利用できる。
BHLは、世界19の博物館、植物学図書館、研究用図書館、および国立図書館らが集まったコンソーシアムの成果だ。それぞれが所蔵する博物学資料を協力してデジタル化し、地球の生命について学びを深めたい人々に向けて無料で提供している。このためにBHLコンソーシアムは、国際的分類機関、出版社、生物情報学者、情報技術専門家らと協力して、すぐれたオンラインアクセスを提供し、コンテンツやデータの再利用ができるツールとサービスを開発している。BHLがさまざまなサービスとデータのエクスポート、APIなどを提供することで、利用者は研究のためにコンテンツをダウンロードしたり、原データのファイルを集めたり、資料を再利用したりできる。