「霊性」を表現、岡本太郎に挑む 小松美羽展開幕
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小松は昭和59年、長野県生まれ。女子美術大学短期大学部卒。本展では初期の銅版画から狛犬(こまいぬ)などの立体作品、最新の絵画まで約100点で独自の表現世界を概観する。出雲大社に奉納した「新・風土記」のほか、来年の真言宗立教開宗1200年を機に京都の東寺(教王護国寺)への奉納が決まっている二幅一対の大作「ネクストマンダラ―大調和」も特別展示している。
副題の「霊性とマンダラ」は同館が名を冠する芸術家、岡本太郎(1911~96年)と小松をつなぐキーワードという。メインの展示室では、地球やマンダラ、生命などを表現した小松作品の中心に、岡本の作品「渾沌(こんとん)」を据えた。土方(ひじかた)明司館長は「両者の作品が響き合い、聖なる空間をつくっている」と語り、「民俗学などに精通した岡本が、神秘や霊的なものを日本の文化の基底に見ていたように、小松さんも霊性や神聖なものを感受し、神獣などに託して絵にしてきた。マンダラは、彼女がそうして描いてきた世界の集大成」と位置付ける。小松自身は「土地の神話や民話、伝承をその場で学び、作品に落とし込む」制作方法に、岡本との共通項を感じるという。
24日に開かれた内覧会では、同館のシンボル「母の塔」前で、小松がライブペインティングを決行。炎天下、体全体を使ってエネルギッシュな画面を創り上げた。小松は「岡本太郎さんのエネルギーに圧倒されつつ何とか描き、初めて挑むことができたと感じた。少しでも多くの人の魂や心が救われますようにと祈りを込めた」と振り返った。
8月28日まで。日時指定予約制。月曜(7月18日は開館し翌日休)と8月12日は休館。9月1~19日、大阪市北区の阪急うめだ本店にも巡回予定。